横山智佐子学校長日本で講演
2008年6月、ISMP横山智佐子学校長は日本全国5か所7回にわたり講演会を行った。一般公開の講演では題目を「ハリウッド映画制作新事情」として、日本では知られざるハリウッド映画制作のシステムを講義。また各高校、大学では将来夢を求めて社会に羽ばたく若者に、未来へのエールを送った。
[講演内容]
ハリウッド映画制作最新事情
パターン化された脚本の構造
ハリウッドでは俗に「おもしろい」とされる映画の脚本のフォーミュラ(形式)が決まっている。英語の脚本は通常1頁を1分と考えられている。その全ページをアクト1、アクト2、アクト3の3つに分け、物語の設定、中間、クライマックス、終わり等がどのページで現れるかがおおよそ決まっている。劇場での映画鑑賞は遊園地でジェットコースターに乗ることに似ている。途中アップダウンがあり、最後のクライマックスで頂点に上って急降下する。いくつもハリウッド映画を見ていると最後にはホラー、コメディー、または恋愛映画であっても、後味がみんな同じに思えてくるのはそのせいだが、一方どれを見てもそこそこおもしろいと感じるもその影響である。
制作の流れ
ハリウッド映画は通常、脚本は個々のプロデューサー、資金は大手スタジオ、そして実際の制作は、制作開始とともに結成され終了すると消滅する制作プロダクションが行っている。プロデューサーは常によい脚本を探している。気に入った脚本が見つかればスタジオに交渉。晴れて資金を得たならば、制作に漕ぎ着くことが出来る。プロデューサーは制作に携わるクルーを選んで雇い、ファイナルカットの権利、映画がこれで出来上がりだという決定権を持つ。監督も雇われクルーの1員である事が多い。言うまでもなくプロデューサーの役割は非常に重大である。
クルーの仕組み
プロダクションに雇われるほとんどすべてのクルーはフリーで、スタジオやその他の会社に属している訳ではない。しかしながら各職種は非常に細かく細分化され独立している。監督はこれらの部署のデパートメントヘッドの仕事をスパーバイズする形で仕事を進める。一方各部署のメンバーは各々のユニオン(労働組合)に守られた労働条件の中で仕事をする。1日そして1週間の労働時間とその最低賃金が決められており、オーバータイムや健康保険も保証されている。それほどたくさんの人々が映画産業という、実際には企業や会社と言う形態を持たない組織のもとで働いているのだ。
テスト試写
映画制作においては、編集段階で必ず何度か観客に見せてアンケートをとる、オーディエンスプレビューが行われる。ハリウッドのスタジオ映画はこれを通過しなければ公開には行き着かない。プロデューサーやスタジオが納得のいくアンケート結果が得られるまで編集とこのプレビューが繰り返される。ハリウッド映画はそれほど大衆の意見を気にかけながら制作が進行する。映画は万人のものという徹底した娯楽思考に基づく制作方針だ。アメリカを代表するかのジョンフォード監督でさえこれを踏まえた発言をしている。彼曰く「映画監督にとって芸術的な失敗は重要な事ではない。しかし商業的な失敗は死刑宣告も同様だ。(監督として成功する)秘訣は観客を喜ばせ、一方でいかに監督自身のパーソナリティーを表現出来る映画作りが出来るかだ。」
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